知財転職の視点

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知財転職。「経験10年」だけでは分からないこと
職務経歴書を見ると、

「企業知財10年」
「特許事務所で10年」
「特許事務10年」

といった経験年数が目に入ります。
もちろん、どのくらいの期間その仕事を続けてきたのかは大切な情報です。

ただ、実際に求人企業や特許事務所へ候補者をご紹介するとき、経験年数だけを見ているわけではありません。

同じ「10年」でも、その間に担当してきた仕事は人によってかなり違うからです。

何を担当してきたのか。
どこまで自分で考えて進めてきたのか。
誰とやり取りしてきたのか。
どの技術分野や業務に強みがあるのか。

知財転職では、経験年数とあわせて、こうした中身まで見られます。
特許事務所で働く人が職務経歴書を見ながら、これまで担当してきた特許実務や今後のキャリアについて振り返っている様子
同じ特許事務所での経験年数でも、技術分野や明細書作成、中間処理など、実際に担当してきた仕事によって経験の中身は異なります。

特許事務所での「10年」も、経験してきた仕事は同じではありません。

弁理士や特許技術者の場合、まず見ておきたいのは、これまでどのような案件を担当してきたのかです。

電気・電子、機械・構造、化学・材料、バイオ・医薬、IT・AIなど、扱ってきた技術分野。

国内出願が中心なのか、外国出願にも関わってきたのか。
明細書作成、中間処理、発明者との打ち合わせなどを、どの程度担当してきたのか。

同じ特許事務所に10年間勤務していても、経験の組み合わせは一人ひとり異なります。

特に明細書作成については、「経験あり」というだけではなく、どの技術分野で、どの程度担当してきたのかまで確認します。

特許技術者の場合、業務上は弁理士の補助として位置づけられますが、実務経験を積む中で、明細書を自ら組み立てて作成し、弁理士のチェックを受けるところまで担っている方もいます。

そのため、「特許技術者として○年」という年数だけでは、その方がどこまで仕事を任されてきたのかまでは分かりません。

企業知財では、同じ経験年数でも担当範囲に違いがあります。

企業知財も同様です。

出願・権利化を中心に経験してきた方もいれば、研究開発部門と発明発掘を行ってきた方もいます。

特許調査やFTO、IPランドスケープ、契約・ライセンス、知財戦略などへ仕事を広げてきた方もいます。

さらに、担当する技術分野や事業部門、国内外の案件、研究者・技術者との関わり方によっても経験は変わります。

企業知財の方とお話しするときも、「知財部で何年働いたか」だけでなく、その間にどの仕事を、どの立場で担当してきたのかを伺います。

例えば「発明発掘の経験がある」といっても、研究者から上がってきた発明を確認してきたのか、研究開発の段階から技術者と話しながら発明を拾い上げてきたのかでは、実際にしてきた仕事が違います。

転職先で求められている仕事と、自分が実際にしてきた仕事がどこで重なるのかもポイントになります。

特許事務の「10年」も、国内・外国だけでは分けきれません。

特許事務についても、経験年数だけで判断するのは難しいところです。

国内特許事務を中心にしてきたのか。

外国出願を多く扱ってきたのか。

内外・外内のどちらを経験してきたのか。

期限管理、出願手続、請求、海外代理人との連絡、顧客対応など、どこまで担当してきたのか。

「外国特許事務10年」という経歴でも、実際の担当業務には幅があります。

英語についても、定型的なメールを扱うことが中心だったのか、海外代理人とのやり取りを日常的に行っていたのかでは、転職先への伝え方が変わります。

私自身、特許事務の方をご紹介するときは、「経験○年」でまとめるより、その年数の中で何を担当してきたのかをできるだけ具体的に見るようにしています。

「未経験」でも、それまでの経験がゼロになるわけではありません。

応募する職種については未経験でも、それまでのキャリアがすべてゼロになるわけではありません。

例えば、研究開発職から特許技術者を目指す場合。
特許明細書を作成した経験はなくても、自分の専門技術を理解し、研究内容を説明し、技術的な違いを考えてきた経験があります。

特許翻訳から特許技術者を目指す場合も少し違います。
明細書そのものを作成した経験がなくても、長年にわたり特許明細書やクレームを読み、拒絶理由や意見書・補正書に触れてきたのであれば、特許文書への理解は、知財に初めて触れる方とは異なります。

技術営業を経験してきた方であれば、顧客の要望を聞き、技術内容を理解して社内外へ伝えてきた経験もあります。特許実務そのものとは違いますが、これまでの経験として見ておきたいところです。

もちろん、こうした経験がそのまま特許実務経験として扱われるわけではありません。

新しく覚えなければならない仕事もあります。
ただ、「未経験」という一言だけで、それまで何をしてきた人なのかまで見えなくしてしまうのは、もったいないと思います。

経験年数と、求人で求められる経験が一致するとは限りません。

では、経験年数が長ければ、それだけ応募できる求人が増えるのでしょうか。

例えば、同じ特許実務経験者でも、求人側が求めている技術分野とこれまでの担当分野が大きく異なることがあります。

企業知財でも、求人側がFTOや知財戦略の経験を求めている一方で、これまでの仕事が出願・権利化中心ということもあります。

管理職として長く働いてきた方が、次はプレイヤーとして働きたいと考える場合には、直近でどの程度実務に携わっていたのかも見ておきたいところです。

年数は経験を知るための一つの目安ですが、それだけで次の仕事との相性まで決まるわけではありません。

職務経歴書では「何年」から、もう一歩先へ。

転職活動をするとき、自分の経験を、

「企業知財15年」
「特許事務所12年」
「外国特許事務10年」
と年数でまとめることはできます。

ただ、職務経歴書を作るのであれば、その先まで書いておきたいところです。

担当してきた仕事や技術分野、任されていた範囲、社内外との関わり方などを具体的に書くことで、その方が実際に何をしてきたのかが伝わりやすくなります。

特に長く同じ分野で働いてきた方ほど、ご本人にとっては「普段からやっている当たり前の仕事」になっていて、職務経歴書では簡単に書いてしまうことがあります。

ところが、その「当たり前」の中に、転職先が知りたい経験が含まれていることもあります。

「経験10年」の中身を一度振り返ってみる。

経験年数は、その人のキャリアを分かりやすく表す数字です。

ただ、同じ10年でも、その間にしてきた仕事は人によって違います。

また、研究開発、技術営業、特許翻訳など、一見すると応募する職種とは違う仕事で身につけてきたものもあります。

特に長く働いていると、自分にとって当たり前になっていて、あえて職務経歴書に詳しく書いていない仕事も出てきます。

その中に、転職先が知りたい経験が隠れているかもしれません。

「経験10年」とまとめる前に、その10年間で何をしてきたのか。

一度振り返ってみると、自分では気づいていなかった経験が見えてくることもあります。