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特許技術者の仕事は、研究開発職と何が違うのでしょうか?
研究開発職や設計開発職から特許技術者への転職を考える方から、「技術に関わる仕事という点では近いと思うが、実際には何が違うのか」という相談を受けることがあります。

どちらも理系的な理解力や技術への関心が活きる仕事です。ただし、研究開発職が新しい技術や製品を生み出す側に近いのに対し、特許技術者はその技術を権利として整理し、文章化し、保護していく仕事です。

同じ技術を扱っていても、見ている角度はかなり違います。
研究開発職と特許技術者の違いをイメージした写真
特許技術者は技術知識を活かしながら発明の権利化に携わります

研究開発職は「技術をつくる」仕事、特許技術者は「技術を権利として整理する」仕事

研究開発や設計開発の現場では、実験、設計、評価、解析、試作、改良などを通じて、技術そのものを前に進めていきます。
実務の中では、性能をどう向上させるか、課題をどう解決するか、製品化に向けて何を検証するか、といった視点が中心になります。

一方、特許技術者の仕事では、発明内容を理解したうえで、それを特許出願書類として整理していきます。

例えば、発明者から技術内容をヒアリングし、従来技術との差異を確認しながら、「どこに発明の本質があるのか」を整理していきます。
そのうえで、明細書や請求項という形に落とし込み、特許として成立しやすい表現を構成していきます。

研究開発や設計開発が、「どう実現するか」を深く考える仕事だとすれば、特許技術者は、「その技術のどこに権利化すべき価値があるのか」を整理する仕事ともいえます。

そのため、技術知識そのものに加えて、情報を構造化する力や、文章として論理的に整理する力も重要になります。

特許技術者には、技術理解に加えて“言語化する力”が求められる

特許技術者の仕事では、技術を理解する力だけでなく、それを正確に文章へ置き換える力が重要になります。

研究開発や設計開発の現場では、図面、実験データ、仕様書、会話の中で技術が共有されることも多いと思います。しかし、特許出願では、技術内容を第三者が読んで理解できる形にしなければなりません。

特に重要になるのは、次のような視点です。

例えば、
・発明の特徴はどこにあるのか
・従来技術と何が違うのか
・どの範囲まで権利として押さえるべきか

といった点を考えながら文章を組み立てていきます。

技術としては理解できていても、それを特許文書としてどう表現するかは別の訓練が必要です。実際の相談でも、「技術を見る仕事だと思っていたが、想像以上に文章力が必要だった」と感じる方は少なくありません。

研究開発職と特許技術者では、“仕事の成果”の見え方も異なります

研究開発や設計開発の仕事では、成果が製品、性能向上、コスト改善、量産化、課題解決などに結びつきやすい傾向があります。自分が関わった技術が形になり、市場に出ることにやりがいを感じる方も多い仕事です。

一方、特許技術者の成果物は、主に特許出願書類や中間処理対応になります。
直接製品をつくる立場ではありませんが、技術を権利として整理し、企業や発明者の知的財産を支える役割を担います。

この違いは、仕事の“手触り”にも影響します。

研究開発や設計開発では、実験結果や試作品、性能評価などを通じて、成果が比較的見えやすい場面があります。

一方、特許技術者の仕事では、成果がすぐ目に見えるとは限りません。出願後、審査を経て権利化されるまで時間がかかることもあります。

そのため、「自分で技術を動かしたい」のか、「技術を整理し、権利として残すことに面白さを感じる」のかによって、向いていると感じる方と、そうではない方が分かれることもあります。

特許実務では、一つの技術を構造的に理解し、それを文章として整理しながら、将来的な権利範囲まで考えていきます。
そうした“技術を言語化して整理する面白さ”に魅力を感じられるかどうかは、実際の働き方を考えるうえでも一つのポイントになります。

特許技術者という仕事に向いているのは、どのような方でしょうか

研究開発職や設計開発職から特許技術者へ転職する場合、技術バックグラウンドは大きな強みになります。特に、機械、電気、化学、材料、情報、通信、バイオなどの分野で実務経験がある方は、特許事務所でも評価されやすいことがあります。

ただし、研究開発経験があれば誰でも自然に合う、という仕事ではありません。

特許技術者に向きやすいのは、たとえば次のような方です。

・技術を整理して説明することが苦にならない
・文章を丁寧に組み立てることに抵抗がない
・発明の本質や差別化ポイントを考えることに興味がある
・ひとつの技術を少し引いた視点で見ることができる
・研究開発や設計開発そのものより、技術を支える仕事に関心がある

逆に、手を動かして実験したい、製品開発の現場に近いところで働きたい、実物に触れながら技術を進めたいという志向が強い方は、特許技術者の仕事に物足りなさを感じる場合もあります。

これは良し悪しというより、仕事の重心の違いに近いものです。

研究開発や設計開発では、「どう実現するか」に深く入り込む場面が多くあります。
一方、特許技術者は、「どこに発明としての価値があるのか」「どのように権利として整理するか」を考える仕事です。

そのため、転職を考える際には、「理系経験を活かせるか」だけではなく、自分が技術とどのように関わっていきたいのかまで含めて整理しておくことが大切になります。

転職前に確認したいのは、仕事内容よりも“仕事の進め方”

特許技術者といっても、特許事務所によって仕事の任され方は異なります。

弁理士の補助として明細書作成を中心に行う事務所もあれば、発明者との打ち合わせに同席する機会が多い事務所もあります。国内出願が中心の場合もあれば、外国出願や中間処理まで幅広く関わる場合もあります。

募集内容を見ると、「特許明細書作成」「中間処理対応」「技術分野:機械・電気・化学」など、似た表現が並ぶこともあります。

ただ、入所後の実感としては、次のような点で違いが出ます。

・どの程度、発明者と直接やり取りするのか
・弁理士のレビューは細かいのか、大枠を見る形なのか
・未経験者への教育体制があるのか
・担当分野が固定されるのか、幅広く担当するのか
・国内案件と外国案件の比率はどの程度か

経験者の方ほど、この違いを重視されます。未経験から特許技術者を目指す場合も、仕事内容の名称だけで判断せず、実際の進め方を確認しておくことが大切です。

特許技術者の仕事は、研究開発職や設計開発職と同じく技術を扱う仕事ですが、技術への関わり方は大きく異なります。

自分は技術を生み出す側にいたいのか。
それとも、技術を理解し、権利として整理する側に関心があるのか。

この違いを整理しておくと、特許技術者という仕事が自分に合うかどうかを考えやすくなります。

転職活動では、職種名だけを見るのではなく、扱う技術分野、明細書作成の進め方、教育体制、所内のレビュー文化まで含めて比較していくことが大切です。

知財分野の転職では、こうした違いを知ったうえで比較していくことが、結果として納得感のある選択につながることもあります。
この記事について
知財クレアは、知財・特許分野に特化した転職支援サービスを提供しています。

運営者は2006年より人材紹介業界に従事し、2015年から知財・特許分野の転職支援を行っています。